CHEBUNBUN

コンプリシティ/優しい共犯のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

3.0
【汚仕事から逃れて...】
汚仕事から逃れても汚仕事が待っている...

日本に外国人労働者としてやって来たチェン・リャン(ルー・ユーライ)は劣悪な労働環境に嫌気がさし、逃亡する。そんな彼は、不法労働者としての十字架を背負い、窃盗を繰り返しながら日銭を稼いでいた。そんな彼が流れ着いたのは、店を畳むか畳まないか悩む孤独な蕎麦職人・井上(藤竜也)だった。単なる人員としてしか扱われなかった彼は、ここでようやく技術を学ぶ機会を得るのです。井上は、英語も中国語もほとんど話せない。しかし、技術は身体で覚えるもの。感情のコミュニケーションで、淡々と技術が伝承されていく。言葉は少ないが、次第に親子に近い関係が築かれていく様に惹きこまれていく。そして、中国語を話せる女性とも淡い恋を抱き、全てが順風満帆に進むと思っていたら崩壊が訪れる。

Complicityとは《共犯》を示す。しかし、劣悪な労働から庇った男は罪なのだろうか?そういった問いかけを近浦啓は観客に投げかけるのです。

...と言った途端に、随分と無難で誰でも考えられそうな着地点になってしまっていて、そこが本作の弱いところだったりします。外国人労働者の生活は過酷だ。失踪した彼らは更なる過酷さを強いられているか、犯罪に手を染めている。では、その闇の奥をどう映画的魅力を持って捉えるかと考えた際に、ルー・ユーライと藤竜也のノンバーバルコミュニケーションだけでゴリ押すのは少し無理があるなと感じた。もう一声欲しかった。
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