千年女優

タクシー運転⼿ 〜約束は海を越えて〜の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
時の大統領・朴正煕が暗殺された10・26事件後に民主化への機運が高まる「ソウルの春」を経た1980年5月の韓国。新軍部が市民を弾圧する光州が規制で閉ざされる中、タクシー運転手で平凡なソウル市民キム・マンソプが金目当てでドイツ人記者ピーターの運転手に買って出て現地へと赴き現実を目の当たりにする様を描いたドラマ映画です。

キム・ギドク監督の下で研鑽を積むも自身は監督デビュー後は師とは異なる大作映画の道に進んだチャン・フン監督が、実在の新聞記者ユルゲン・ヒンツペーターの体験をモチーフにして制作した作品で、同じ光州事件を題材にした『弁護人』の主演ソン・ガンホが演じる物語が受けて1000万人以上の観客動員数を誇る大ヒット作となりました。

シリアスな歴史的事件を描く作品であっても堅苦しい教科書的なものではなく、『弁護人』や『国家が破産する日』と同様誰が見ても分かる娯楽劇のフォーマットで作られていて、流石の演技の幅広さを見せるソン・ガンホが盛り立てます。ややポピュリズムに寄り過ぎた軽さはなきにしもですが、メリハリの利いた展開で感動を呼ぶ一作です。
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