さわら

泣き虫しょったんの奇跡のさわらのレビュー・感想・評価

泣き虫しょったんの奇跡(2018年製作の映画)
4.0
大崎善生『将棋の子』を読んでから、奨励会の独特のシステムはある程度知ってるし、瀬川晶司六段のことはもちろん知っていて、ゴール地点はわかりきっていながらも感動するのは普遍性のある話だからだろう。

つまりは、将棋にかかわらず連綿とした人生のなかで人が前向きに生きていけるのは、何気ない一言や善意の積み重ねがあるからだ。そして、支えられる救われた自分が無意識のうちに、だれかの支えや希望になり得るからこそ生きるに値するのだろう。美しき人生賛歌!

とはいえ、サラリーマン時代はだいぶ薄味で、特に街の場末の将棋クラブに出入りする小林薫役の人間は何もんだよと思ったし異様だった。「自分で道を切り拓く」という言葉が廃るよ。

いろいろ雑味はあれ、悪くないし正月っぽい感じもあったし、正月番組に飽きてた僕には大変新鮮だった気もするからよかった。