カーネル

きらきら眼鏡のカーネルのレビュー・感想・評価

きらきら眼鏡(2018年製作の映画)
3.8
テレビでよく見かけて気になっていた金井浩人の映画本格デビュー主演作。彼の出演作『嵐電』を最近見たこともあり、軽い気持ちで選んで………やられちゃいました。
そして力づけられました。
原作があったとは観終わって知りました。

この映画は派手さはない静かな映画ですが、近い経験をした事がある人が観るとかなりザワザワさせられます。だからというのも変ですが、金井浩人が良いのだと思います。とても地味だけどとても自然で。

カノジョと些細なケンカでラインの返信をしないまま事故で死なれてしまった男と、
余命宣告された彼に寄り添い続ける女。二人が出会った事で止まっていたかに見えたものが動き出す。そして死を前にして心の声を表に晒した男の無念さ。
それぞれ死んでしまった相手を想いながら4人で生きていく事はダメなの?と思ってしまいます。
「自分の人生を愛せないと嘆くなら、愛せるように自分が生きるしかない。他に何が出来る」自分を愛せるような生き方とは?
その答えの一つが「きらきら眼鏡」なのかもしれません。
立花が最後に見上げた空はあかねが綺麗だと言った空と同じなのかな。西川監督の『すばらしき世界』のラストのあの空とは同じかな。


今作の池脇千鶴は金井浩人を見事に引っ張り上げたと思います。
そしてあんな安藤政信は私は初めてでした。「死んだらあかねの中で一生一番であり続けるからな!!!」
よくぞ言った!!!
山本浩司は、母を亡くして不穏になりながらまた一つの死を物語る男を巧みに演じています。彼らしい芝居でした。
『かそけきサンカヨウ』で主演が決まっている志田彩良が立花の事故死した彼女役で出ています。
私の推しの一人杉野遥亮は、当たり障りのない役で勿体なかった。
『富美子の足』の片山萌美、
『ゼンタイ』『恋人たち』の成嶋瞳子
『嵐電』監督の鈴木卓爾の3人を発見!
金井浩人は『孤狼の血LEVEL2』にも出ているようで楽しみです。(その女ジルバでは池脇さんの弟役と、結構幅広い)

劇伴のストリングスがとても良いです!
葉加瀬太郎のヴァイオリンも素敵です!
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