放課後とあるクラスでLGBT(当時のまま記載する)について、先生が講話する。
講話が終わったあと、生徒達は自分のクラスだけ、この話があったことを噂する。
LGBTを揶揄する子、思わぬ失恋に動揺する子、さっきまで仲良くしていたのに途端に友人から視線を意識する子、やり切った顔をしている先生も含めて、誰も当事者を観ることはなく、自分の思いを吐き出し続ける。
分からないから、知らないから、自分(達)と違うから、怖い。だから遠ざけて、否定して安定しようとする。
本作は、短編ながら日本の縮図のように、この問題を体現している。(正直これ以上の尺があったら醜すぎて見ていられないだろう)
ただ、主人公だけは大きな瞳で世界を相手を見つめる。救いの手を差し伸べることは出来なかったとしても。
映画のラスト、ささやかで愛おしくて、誰もが体験したことのある気持ちに気づいた人は、主人公と同じ視点に立てるのかもしれないし、違うかもしれない。
この映画を観たのは4年前。
多分、僕たちは、まだこの映画を越えられない世界で生きている。