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カランコエの花のlpのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
4.7
新宿K'sシネマの一週間限定上映にて鑑賞。

高校のあるクラスでLGBTに関する授業が行われるが、実はその授業は他のクラスでは行われていないことが分かり、生徒達は「クラスメイトにLGBTがいるのでは?」と疑念が広がる・・・という話。

まだまだ勢いが止まらない『カメラを止めるな!』のモーニングショーの整理券狙いの観客と、今作の整理券確保を狙う観客とが混在して、長蛇の列が完成した今朝の新宿K'sシネマ界隈。チケット販売開始から1時間以内に、両作品とも整理券が完売してしまう盛況ぷり。今作は1日1回上映ながら、これで3日連続でチケットが完売とのこと。そして、肝心の映画の方も、映画館の盛況ぷりに比肩する素晴らしい出来映えだった!

さて、ここでこのレビューを読んでくださってる皆さんに一言。ここから今作の絶賛評を書き連ねますが、現時点で今作に興味を持たれてる方は、今すぐこのレビューを閉じることをオススメします!

何故ならこの映画は、『カメラを止めるな!』や『デッドプール2』、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』といった映画と並び、可能な限り事前情報は抑えた方が楽しめる映画だからです。

という事で、別にネタバレするつもりって訳では無いですが、以下を読まれる方は自己責任でお願いします。

映画はミステリアスなプロットに、鮮やかな伏線回収も絡み、中盤までは娯楽作的な面白さが際立つ。「クラスの中にLGBTの生徒は本当にいるのか?いるとしたら誰なのか?それとも単なる噂なのか?」と、気が付くと観客は劇中の高校生達と同じように考えさせられている。

中盤以降はドラマの軸が、LGBTと向き合う高校生の姿を描くことにシフト。
LGBTへの無理解と若さゆえの軽率さが合わさり、何処へ向かうのか分からない高校生達の姿に、観ていてハラハラさせられる。

娯楽作としての面白さはここまでで充分に担保しつつ、クライマックスに放たれる決定打は重く、観客に問い掛ける効果はバッチリ。好意的にも否定的にも解釈可能な含みの持たせ方も良い。

40分の中編ではあるけれど、非常に充実した傑作でした。今年のベスト10候補の1本になりそう。今のところ新宿K'sシネマで一週間の限定上映しか無いけれど、ぜひこの機会に劇場へ!!!
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