通りすがりのアランスミシー

カランコエの花の通りすがりのアランスミシーのレビュー・感想・評価

カランコエの花(2016年製作の映画)
4.1
『LGBT』について描いた社会派テイストの映画…という点はこの際どうでも良くて純粋に青春恋愛もの映画として良作。

監督がアスガル・ファルハーディーに影響を受けているという発言をしていた通り影響は明らかで、全編がほぼ手持ちBGMほぼ無しと完全では無いながらドグマ95の原則に従って作られている。

オープニングクレジットの吹奏楽演奏シークエンスでの高揚感というか
疾走してないのに疾走してる感覚は白眉。
タイトルのカランコエの花言葉が「あなたを守りたい」なのにあのラストはどうかという意見もあるがこの年代の無力感が良く出ていて個人的には好感。
(ティーンエージャーが「君を守りたい」なんて言っていいのはガンダムかバトルもの少年漫画だけだろう)
性質上、室内シーンが多いが画面に程よく動きがありテーマの重さに反して鑑賞ストレスは軽い。

唯一バスの中で、ある人物をクロースアップのシングルショットで撮り続けるカットは少しどうかと思った。
カットそのものが悪いというより、揺れるバスの中であんなボケボケの単玉ショットで撮ったものだから(多分)ブレがひどくて目が回りそうになった。
焦点距離の短いレンズで普通に人物に寄って撮るなり、停め撮りするなりして欲しかった。

また、欠点という訳では無いが教師役の俳優が若すぎるのがちょっとだけ引っかかる。若すぎるせいで生徒との距離が近く、大人というより年上の友達みたく見える。
これが計算なのかどうなのかだが、狙いなのだとしたらそれはそれでアリだと思う。