Kana

モリーズ・ゲームのKanaのレビュー・感想・評価

モリーズ・ゲーム(2017年製作の映画)
3.0
何度落ちぶれても、全てを失っても、人生からは降りられない。
頭の回転が速く努力家でプライドの高い人間は、ものすごく成功する可能性があるけど、その分落差も激しい。
だからと言って、なんでもそこそこに生きていくこともできず、山があれば登らずにいられず、壁があれば挑み続けるしかないという依存症のお話。
どん底まで落ちたモリーは走馬灯のように波乱万丈な人生を振り返り、軽快な語り口でストーリーテラーを引き受ける。
煌びやかな世界の光と闇、何も持たない少女が駆け上がっていく様はなかなか見ものですが、ラストシリアスなシーンに近づくにつれ疑問が生じる。
成功とともにリスクを抱え、物語はスピード感を増して落とし穴へと近づいていく。
けれどモリーは被害者なのか?
この映画はかなり原作者モリー本人の意向で彼女に同情的に作られていて、確かに彼女は悪人ではないけれど、同情できない部分もある。
モリーには野望があった。
成功したいという強い野望。
そして自分の力を過信していた。
結局のところ、その野望に理性丸ごと飲み込まれてしまったように見えた。
映画は面白かったけれど、実話というところが逆に引っかかる。
高い評価を得た(らしい)この映画の原作者として、40代のモリーは再興したのだろうか。
人生を取り戻したのだろうか。
映画の中であれほど映画化を拒んでいたのに、なぜ今になって映画化する気になったのか。
そして結局、数々の秘密は今も、彼女の心の内に眠っているのだろうか…。
ちょっと前に女神の見えざる手を見ましたが、主演のジェシカチャスティン、同じ強い女を演じていてもとても同一人物には見えなくて驚きました。
セクシーで美しく才覚があって強い女性、憧れますが、勝つことへの執着はある種の依存のようにも感じ、恐ろしくなります。
Kana

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