HinakoTadaki

ヒューマン・フロー 大地漂流のHinakoTadakiのレビュー・感想・評価

3.8
初めて、暗い映画館の中メモを取りながら観た。

難民にも人権があると言ってもあまりぴんと来ないかもしれないが、「6850万人の難民が毎日死と隣り合わせの状態で生活している」と表現したらどうだろう。全財産を捨てて海を渡ってきたのに国境を閉鎖された人、海を渡るだけで家族のうち5人を亡くした人、"Aren't we human beings?" とプラカードを掲げる人。正直ここまで酷いとは思っていなかった。

わざと残酷なシーンだけ集めて私たちを怖がらせようとしているわけではなく、難民の自然な生活を映し出しているところに好感を持てた。とにかくリアル。その環境に私自身が足を踏み入れたような感覚。映像もとっても綺麗で、感情移入してしまった。

こんな事実を知らずに今までよく生きてきたなと自分を責めたいくらい、劇場に私を除き1人しかお客さんがいなかったことが、今の先進国の姿勢を表しているように思った。