イッソン

巴里の空の下セーヌは流れるのイッソンのレビュー・感想・評価

3.2
昔のパリってこんな感じかぁ。
と感心しながら見た。ナレーションが目立っていて、けっこう皮肉なことを言う。パリの空担当の神様が人々を見下ろして話している感じ。昔、手塚治虫の漫画にあんな感じのありました。ゲーテのファウストだったかな。

どの登場人物も切実な気持ちで動いています。のんきなのはセーヌ川で釣りをする口笛のおじさんだけ。あの人は裕福な人なのでしょうか。

セーヌ川がいろいろなドラマの背景になっています。東京だったら隅田川になるでしょうか。
東京にはパリのように昔のままの風景はありません。東京は川の上に高速道路があるから、風景はめちゃくちゃ。それが好きという人もいるのだろうが、せめて道路は他の場所に建設するべきだった。ポンヌフがあるパリは絵になるーっ!

子役が生き生きしていて面白いですね。
あのボートを勝手に運転する男の子。生意気で大人びていて、でもやっぱりガキ。
「わたしをひとりにしないで」という女の子も、なかなかのレディだなぁと、やはりフランスの子どもは違うのかな。

手術のシーンがリアルでした。心臓を直接手で掴んでもんでいましたが、昔はあんな感じだったのでしょうか。白黒だから見てられるところ。インターンの試験はダメでも手術の腕は良い男。キャラクター設定がはっきりしてます!

お婆さんは猫を飼い過ぎです。せめて二匹までにしたら、あんなに困ることもない。養老院みたいなとこの食事サービスも持ち帰りはダメというところが残念。お金持ちの女性も子どものためならお金を出しても猫はダメでまた残念。ナレーションがまた「72歳に子どもを作れとはいやはや」とかいちいち可笑しい。

この映画の日本公開ポスターがいい。あの野口久光先生の手書きのポスターでジャケットは統一してほしい。