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バッド・ジーニアス 危険な天才たちのmaiのレビュー・感想・評価

4.6
去年受験生だった身からすると、痛いほどにわかる感情だからこそ、すごく感覚移入して観てしまいました。

今回の映画の中の高校生のように、親にいい顔をしたい・失望させたくない…という思いから、学問に奔走する生徒は世界中にいると思うし、実際にそのためにカンニングをしてしまう生徒もいると思います。
どんなに真面目で正義感が強かろうと、ズルさを味わってしまうときっと抜けられないのだと思います…。そういう学生の気持ちの隙間だったり、脆さだったりも表現してるようでリアルだなぁと思いました(カンニング技術は高校生らしからぬプロさですけど笑)。
リンもバンクも最初はすごく真面目で真っ直ぐな生徒でした。リンも最初にカンニング幇助をしたのは、友人の願いを叶えるためというただそれだけですし。
しかし、弱みを握られたり、痛いところを突かれたりと…そうするたびに、彼らはどんどんと沼にハマっていってしまいます。

最後の試験場でのシーンは観てる側もハラハラしました。見つかってしまうんじゃないか…バレてしまうんじゃないか…ピンチすぎて、もう次から次に出てくる問題ごとに追いついてくのがやっとってくらい引き込まれました。

個人的に、結末にはあまり納得はいかないです…。カンニングが良くないことは分かるので、彼らに何かしらの罰は必要だと思います。だから、リンが罪を犯したことを告白する、というのはいいんです。でも、せめて…せめてバンクはもう少しどうにかならなかったのでしょうか…。最後にリンと話している時のバンクの目が、シドニーで一緒に写真を撮った時のものとはあまりにも別人すぎて、観てるだけで辛かったです。自暴自棄気味になってるバンクを救うシーンを1つ挟むだけでも、鑑賞後の感想は変わったはずです…。
若いからこそ、(夢物語なのかもしれませんが)やり直せるはずだというほんの少しの希望だけでも…という思いです。リンが改心しているからこそ、その分バンクの境遇が辛すぎて。

音に関しては、鉛筆や紙・タップ音など、印象的な音が多くて、個人的には好きな演出でした。
テンポも良くて、総じて見応えのある映画だったと思います。
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