Wacky55

切り裂き魔ゴーレムのWacky55のレビュー・感想・評価

切り裂き魔ゴーレム(2016年製作の映画)
3.7
2024年 5本目

1994年に発表されたピーターアクロイド作の小説、切り裂き魔ゴーレムを、2016年に映画化。主演のキルデア警部補役は当初、アランリックマンが予定されていたが、リックマンが癌を患っていることが判明し、治療に専念。代役というかたちでビルナイが演じることになった。

エンドクレディットでは、本作をアラン、リックマンに捧げると表記されている。

総合評価: 3.7

演出/脚本等: 3.1
脚本の内容に関しては、正直、厳しい言い方をすれば安っぽかった。リジーの過去を強調しすぎてしまったことによって、ゴーレムの正体が誰なのかというのがもうすぐ予想がついてしまい、推理や捜査の描写の価値がすっからかんに近い状態、ビルナイの演技がなければ、全く意味がなかったと言ってもいいかもしれません。物語終盤も何か変なトントン拍子感があって、少し違和感を感じました。

ただ最後の場面はかなりの恐怖を感じましたね。“名声と呪い”、個人的には、一番インパクトが強い場面でもありました。

演出に関しては、個人的には高評価です。ミステリアスさだけでなく、リジーの心情やドロドロとした人間関係の様子を見事に描かれていて、非常に良かったと思います。

演技: 4.1
ビルナイさすがでしたね。寡黙でありながら時には静かながらも激情を出す所はビルナイらしさがあって非常に良かったです。刑事や探偵役は非常に合っているかもしれないなと感じました。オリヴィアクックの表情の演技(例:笑みや混乱、動揺)も印象的でしたし、ダグラスブースも人間味がありながらもどこか哀愁も漂うダンリーノを見事に演じていたと思います。

カメラワーク等/アングル等: 4.1
まずカメラワークに関しては、大半がワンカメラで撮影されたそうです。あのスリル 迫力、緊迫感をワンカメラによって出していることは高評価するべきでしょう。しかし個人的に一番よかったのはライティングです。Natural lightingとtungsten lightそしてlow key lightingがうまく活かせれており、物語のムードさやキャラクターの心情を見事にサポートしているなと思いました。例えば、物語の終盤でのLow key lightingによるリジーの場面は、彼女の心の闇を見事に表現されているなと感じました。

編集等: 3.7
全体的に音楽や、サウンドエフェクト、登場人物の声が非常に明瞭でそして響きがあり、その響きが緊迫さを表現していて個人的には良かったかなと思います。あえて強いというなら、全体的に音量がちょっと大きすぎるかなと感じました。緊迫さを表現するために音量をあげたのではないかと思うのですが、個人的にはもう少し下げても良かったのかなと思います。

美術/衣装等 3.6
キルデア警部補の衣装は個人的に好きです。
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