浦切三語

スカイライン-征服-の浦切三語のネタバレレビュー・内容・結末

スカイライン-征服-(2010年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

なんかあんまり評価高くないみたいですけど、わりかし楽しめました。この手のモンスターパニック映画で個人的に重要視しているのが「こんなキモい怪物に食われたくないよ……」感なのですが、そういう嫌悪感を抱かせるモンスターとしてはデザインがツボに入りましたね。いろーんな形状のモンスターが出てくるし、触手はウネるし、空母は自動修復するし(笑)ごった煮感が気に入りました。

しかしながら、ボンクラな絵面と比較して、テーマに掲げられているのは「現実に立ち向かう」という全うなもの。金もなければ新天地でやってく自信もないし、彼女は妊娠するしで勘弁してくれよと、現実の面倒事に真面目に向き合わない主人公に対する「追い込み」として「宇宙生物による地球侵略」をもってきているのが、この映画の良い意味で突拍子もない部分です。宇宙生物が放つ「青い光」から人々が目を逸らす(むしろ逸らさないとやられる)というアクションが意味するのは「現実を直視出来てない」ということの暗喩なのです。

センスはともかくとして、そういうテーマの下で作られているもんだから結構真面目だし、ジャンル映画の「ご都合主義」を逆手にとった作品とも言えますね。主人公が壮絶な肉体の変容を受けても最後まで己の愛を貫く展開は、どことなくクローネンバーグの『ザ・フライ』を思わせるものがありました。

あと、「前半がかったるい」という意見もあるみたいですが、ハリウッドがよく使う三幕構成に則った描き方になっとるだけの話です。逆に言いますが、状況説明、主人公の抱えている問題、キャラクター造形を描いている前半部分を省いてスペクタクルな展開にしたら、たしかに絵的には面白くなるかもしれませんが「物語」としては間違いなくズタボロになると思います。
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