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サイゴン・クチュールのakrutmのレビュー・感想・評価

サイゴン・クチュール(2017年製作の映画)
4.0
ファッション業界を舞台に、1969年から現在にタイムスリップしてきた一人の女性が成功していく様子を、ユーモラスに、ガーリーに、キュートに描いた、グエン・ケイとチャン・ビュー・ロックの共同監督によるベトナム映画。

ストーリーは典型的な主人公成長ムービーであるが、50年前の過去からタイムスリップしてきた女性が現在で成功を収めるというプロット、特に、50年後の自分が落ちぶれたおばちゃんになっているのを見て一緒に一念発起するというのが面白い。50年前と現在の時代感覚を融合させたようなカラフルな映像やファッションも見どころで、何も考えずに楽しめる映画だと言える。主人公のニュイを演じたニン・ズーン・ラン・ゴックのコメディエンヌぶりもなかなか。

主人公の母親役を演じているゴ・タイン・バンがなかなか綺麗だったし、めちゃくちゃ貫禄がある(そういう役柄であることを考えても、他の俳優と次元が違うという感じ)と思って見ていたが、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』にも出演したベトナムを代表する俳優ということで納得。近年は、女優だけではなく、映画の製作やタレントプロダクションの経営なども行っている。2010年には、365dabandという男性アイドルグループをプロデュースしている。本作でニュイをサポートする男性役の俳優は、このグループの出身だそうである。実は、本映画の構想も、彼女とファッションデザイナーのトゥイ・グエンの会話の中から生まれたとのこと。ベトナムの女性をテーマに、現在の若い世代に忘れられているアオザイの素晴らしさを表現したいということで一致したそうである。
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