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マルリナの明日/殺人者マルリナのHKのレビュー・感想・評価

3.3
国内外で数々の賞を受賞したらしいインドネシアの映画です。
初のナシゴレン・ウェスタンとは?
“ナシゴレン”とは米を揚げたインドネシアの国民食だとか。
イタリアのマカロニ(本来はスパゲティ)ウェスタンっぽく命名したんでしょうが、現代劇だしウェスタンではなく、あくまでウェスタン風。
どちらかと言うと『ガルシアの首』みたいに生首を持って旅をする主人公はペキンパー風か。
でも、バイオレンスもグロも思ったより少な目でずいぶん大人しい印象。

原題“Marlina the Murderer in Four Acts”のとおり、物語は “強盗団” “旅” などの4つのパートが順に進行します。
まず、ひなびた村でポツンと一人暮らす未亡人マルリナの家にいきなり七人の強盗が出現。
家畜は勝手に売っぱらうし、コーヒー出せだのメシ作れだの、それが済んだら全員で回すぞだの我が物顔の強盗たち。
絶対絶命と見せかけて・・・静かにマルリナの反撃が始まります。

ふつうは七人と言えばたいがい善玉の方で貧しい村人を助けに来るのに本作では悪党。
主人公マルリナはエミリー・ブラントと吉田羊を足して2で割って秋元才加を少々足した感じの女優さん。
とにかく背景の説明もセリフも少なすぎて、情報は現在進行形の今のみ。

庭には息子の墓、部屋には亡き夫のミイラがインテリアのごとく置いてあるマルリナの過去は不明だし、主人公が強盗の生首もって警察に行くのもよくわからないし、その首をとりかえそうとする強盗仲間の心理もよくわかりません。
徹底した男社会で、男は女と見れば誰であろうが「メシつくれ」というし、女がまたいちいち「何が食べたいの?」と聞き返す。で、ナゼか誰もが「鶏のスープ」と言う。
しかし、出てくる男たちは強盗も警察も救いようの無いバカばかり。

本作は主人公の個人的な復讐劇でもなく、闘うヒロインのアクション映画でもなく、若手の女性監督による、理不尽な女性の立場に声を上げた女性たちの映画でした。

ところで七人の強盗、あと一人残ってますよね?
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