ニシカ

判決、ふたつの希望のニシカのレビュー・感想・評価

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)
3.9
キリスト教徒であるレバノン人男性とパレスチナ難民の男性は公共工事によるいざこざの口ケンカから謝罪を求めるもワンパンチの殴打となり、それぞれベテランじじいと蒼き女性弁護士を引き連れて法廷での争いへと流れる。

法廷は原告と被告の過去をあぶり出す。それが結果的にレバノン内戦の爪痕を法の前に曝け出すこととなり、遂には国を揺るがす裁判に発展していく。
そして、言い渡されたその判決とは、。

レバノン・フランス合作映画として作られた本作。監督、脚本家のメッセージを込めた法廷劇としても実に見応えがある。


レバノン人原告『謝罪があればいい』

ジジイ弁護士『それだけではダメだ!問題を大きくして、賠償金を多額に!オレの裁判でもあるんだぞ。』

パレスチナ難民被告『殴ったオレが悪い、。』

蒼き女性弁護士『ヘイトクライムよ!言葉の暴力が先に振るわれたの!』

こうして原告、被告が抱えた裁判のスケールは当人意外がガソリンを焚べ炎上するが如く増していく。
原題"THE INSULT" -侮辱的言動, 無礼な行為-
邦題"判決、ふたつの希望"
キャッチーに走らずに映画の芯を掴み支える良い邦題を付けてますよね。拍手👏

本作はネット炎上が時に社会を煽るように、とても現代的に社会が介入してくる物語でもある。また観賞後、レバノン内戦、侵攻を少し調べてみたくなる、そんな方が自分以外でも多いのではないかな?たったそれだけのことでもこの映画の持つメッセージが効いていると思いたい。
ニシカ

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