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悲しみに、こんにちはのgolのレビュー・感想・評価

悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)
4.6
あぁ、凄い、、、と素直に思いました。

自分には子供はいないですが、
何故か昔から無条件で子供を尊いと感じていて、
それは可愛いからとかそういうのではなく、
可能性が無限に広がっているから。

大人になればなるほど、
可能性は無くはないけれど、
それはごく僅かで、
それは自分で決めたり、周りの環境だったり、
運命だったりが色々混ざり合って、
少しずつ自分の人生がある一点に収束していく。

それがまだどの方向に向かって
収束していくのか定まっていない。
そんな存在を目にすると、
まぶしくもあり、羨ましくもありで、
見ていて嬉しいんです。

ただ、自分とは逆に、
子供がダメと言う人もいて、
そういう人には今作は響かないとは思いますが、
自分は凄く惹きつけられました。

描写がとてもとても誠実でした。

大人だって常に完璧ではいられない。
相手を愛おしく思う時もあれば、
意味もなく邪険に扱ってしまう時もある。
それを今まで生きてきた経験則や理性で、
何とかブレが少ないように見せているだけで、
中身は子供同様にブレブレ。

子供はそれを隠さず表に出すから、
わがままだ、面倒だと思えるけれど、
それが時にとんでもないワンダーを
起こす事がある。
それは大人には決して出来ないからこそ、
尊いなと自分は感じます。

兄弟の子供とはいえ、
自分の子供ではない子供を
育てるなんて、並大抵の覚悟がないと出来ない。
ましてや自分の本当の子供がいるなら尚更。
どうしたって愛情の差は出てしまいがちだし、
子供はそういうのを敏感に捉える。
鑑賞中、それを凄く心配していました。
全く差が無いのは嘘になってしまうし、
あからさまに差が出てしまえば、
フリダは絶対に懐かなかったでしょう。
大人達のあの愛情の示し方は間違っていない。

この作品が本当に素晴らしいのは、
絶対的な嘘くさい愛情ではなく、
葛藤しながら、
これからもおそらくお互いに
模索し続けながら育てていく、
未来がある愛情を示してくれた事です。

うん、多分だけど大丈夫だと思う。
それぐらいの塩梅が本当なんです。

ラスト辺りは本当に凄いですね。
大人達の覚悟と子供達のワンダー、
あれは狙っても出来ない。
ようやく、なんですね。頑張れ!
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