ディアッカ

スパイダーマン:ファー・フロム・ホームのディアッカのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「私がアイアンマンだ」
「ピーターパーカーがスパイダーマンだ」

アイアンマンサーガの完結編にしてアベンジャーズフェーズ3のラストを飾るは親愛なる隣人、欧州へ行く。
ホームカミングもそうだったが、マーベルスタジオ主導のスパイダーマンはティーンエイジャーとしての側面とヒーローとしての側面を切り分けて描くのが上手く、それだけにスパイダーマンの日常としての顔がエゲツない程に悪玉(汚いオトナたち)に利用されるのが観ていて辛すぎる。
今回のヴィランはソーのロキすらも霞むほどのトリックスターだった「ミステリオ」。まぁ裏切るんだろうなとは思っていたもののその見事な手法と、ミステリオという群体としての在り方は掠め手に近いやり方であるが見事。そもそもジェイク・ギレンホールがこういう邪悪にハマりすぎている。
そして結局のところ、今回もトニースタークが話の中心。善良なトニースタークも、邪悪なトニースタークも、彼が死ぬことで彼が地球に溶け込み、町中に描かれたファンアート等あらゆる形でファーフロムホームの世界に現れる。
ミステリオの誕生も、今回の戦闘の引き金も、つまるところトニースタークが原因。
彼の使った兵器が世界の平和を脅かし、彼自身が火消しを行うことになる。その際は自ら試行錯誤してバトルスーツを作成し自らがそれを纏い戦う。
まさしくファーフロムホームはアイアンマン1の実質的なセルフカバーであり、未熟な主人公としての立ち振る舞いが状況を悪化させていく様、でも失敗すらも糧として成長していくのは露骨なまでである。
身体はアイアンマンに、即席の看板を盾に、ドローンのエンジンで作った手製のハンマーを手に、英雄の欠けた世界に一人アベンジャーズとして立つ少年に俺たちは涙するのだ。

そして本作がアイアンマンサーガとして100点の回答を見せたのが頭のセリフ。
自らアイアンマンであると暴露し、世界の盾となることを決めたトニースタークに対し、ミステリオの策略で他者に世界の悪として正体を晒されたピーターパーカー。作品のクライマックスで正体が世界に露見するとしても、ここまで邪悪かつ、最悪で最高なやり口はあっただろうか。
ファーフロムホームが好調なら、「次の人生」で続きが見られるであろう。
吹いたウソだったマルチバースも、もしかしたら本当になるかもしれないしね
ディアッカ

ディアッカ