たらお

ジュリアンのたらおのレビュー・感想・評価

ジュリアン(2017年製作の映画)
3.0
家庭内暴力で壊れた家族、別れた両親との狭間で母を守るために苦悩する少年の物語。
無力な少年目線だからこそ心に迫る作品です。
フランスの法制度、親権に対する問題、疑問を問いかける内容でもありました。
離婚調停パートから始まるわけですが、このパートがまた長い。動きがなく静かな時間だからこそ父と母、どちらかが嘘をついているのか? もしかして陳述書も子供の狂言なのか? 一体真実はどこにあるのか? わからないまま不安だけが付きまといます。

主人公は息子ジュリアンなのですが、母ミリアムと姉ジョセフィーヌと度々視点が切り替わるので落ち着かない。
まあ家族の不安や焦燥感を表現しているんでしょうけど。
父と母の離婚や面会のことだけじゃなく、姉が家族に隠している問題とかもあってもう家族は崩壊寸前ですから見ていて苦しい。
父アントワーヌとの面会シーンは毎回ハラハラでした。
顔つきというか、目つきが怖いからジュリアンに危害が及ばないかと心配で……
アントワーヌの気持ちだって欠片も共感できないわけではないんですよね。理解は出来ないというかしたくないですけど。
どうしてそこまで追い込まれたのかもうちょっと描いてほしかった感じもありますし。

最終的にあの後ジュリアン達がどうなったのか、どうなるのかは描かれずに終わりますが、終わり方はこれでいいと思います。
家庭内暴力問題に対して「正解」はわからないですし。
ただ、家族、友人、隣人としていざというときに何が出来るかを考えさせられましたね。
ジュリアンの悲痛な心の叫び、クライマックスの緊迫感と見所や訴えたい内容は確かなのですが、やや退屈なパートがあったのが惜しかったかと。
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