月うさぎ

劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-の月うさぎのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ドラマファンへのサービス映画です。
冒頭3分間で端折ったドラマのおさらい。
フライトドクターの意義という基本の説明ではなくて、単に登場人物の過去の紹介。ドラマの映像を細切れにして早送りしただけみたいな怒涛の3分が終わるといきなりトロント医科大学のオペのライブ?
つまり、本編のストーリーとはほぼ関係ないところから話が始まる
サブキャラの大アップに切り替わると突然コメディに…?
映画として興味を引くイントロとはいえません。離脱しようかと思いました。

ドラマとしてシリーズ化され10年もの歴史がある作品なので「それまでの設定を全部盛り込みました!」なんだろうけど、やり過ぎに思えました。ドラマならその回ごとに主役を入れ替えてという手は使えますが、群像劇過ぎて主人公は誰?状態。
映画は映画として単独に楽しんでもいい、というか、映画しか観ない人もいるんだよ!という事を理解してもらいたい。
映画はドラマと違って、何年後かに観られることも多い。寿命が長いのです。
なので無理してドラマの続きと辻褄合わせしなくていいと思います。

とにかく血だらけなシーンが多い。みんな血まみれ。苦手な方はご注意を。
怪我して血が流れるだけでなく病で血を吐くのが強烈。
インパクトが強すぎなのが頭に包丁が突き刺さっても酔っ払い続けている片瀬梨乃
すごい演技でホラー&コメディかと思いました。

山下智久演じる藍沢医師が主役な訳ですが、彼のセリフが何度聴いても聴き取れない程雑。二つの文章を切れ目なく棒読み的に喋る。口をほとんど動かさないで話す。藍沢がクール系なのはいいよ。でも医師が他者に指示を出す時までボソボソ喋っちゃダメでしょ。
演技にもう少し工夫が欲しい。自己表現を滅多にしない人=聴き取れない声で話すこと、ではないでしょう。
あまりに口を動かさないので山下智久がおちょぼ口なんだと気づいてしまいました。

一方、末期癌の怪我人、富澤未知役の山谷花純が素晴らしい。実に気持ちの入った演技。
この映画の観るべきところは彼女です。
できる事がどんどん減っていく絶望感。秒読みで人生の終わりが近づいてくる恐怖。
「忘れられるのは嫌。でも私のことを引きずって彼が悲しみの中で生きていくのはもっと嫌」ジレンマに苦しむ。若いって辛いよね…。
 
物語の展開として、結婚式のネタがこう生きてくるのね。という点は感心しました。

だからこそ、いらないネタはバッサリで良かったのではないですか?
彼女のストーリーを軸にすべきではなかったですか?
死にゆく人とそれを愛する人とが死をいかに乗り越えるか。

この他に結婚式の意義、毒親と子の人生、臓器提供問題、プロとして新しいステージへの挑戦と、これでもかってくらいドラマを盛り込んでいます。
複数ネタを注ぎ込んで掻き回すのって、この作りはまんまテレビドラマだよなぁ。ならばスペシャル番組でいいよねと思いました。

その上まだ盛り上がりが足りないと?
なんで藍沢が死にそうになる?
それって必要?
どうせ死なないのはみえみえなんだし。
見せ場を沢山作って飽きさせないつもり?
ならば見せ場という意味を誤解しています。
フライト・ドクターの存在意義をこそ見せ場にすべきです。

最後にもう一つ、花嫁さんのドレス、野外で肩丸出しで寒そうで可哀想だった。平気な顔で耐えてたけれど、ガッキーはコートにマフラーだよ。バランス悪過ぎ。彼女に薄着を要請できなかったのかな?
演出、細かいところまでちゃんと考えようよ!
月うさぎ

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