MasaichiYaguchi

真夜中モラトリアムのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

真夜中モラトリアム(2017年製作の映画)
3.5
「ミは未来のミ」の併映上映で鑑賞したが、この短編は恰も「ミは未来のミ」の登場人物たちが大人になって再会した時のドラマと思ってしまう程に世界観を共有している。
高校時代の同級生の葬儀で再会した仲良しグループの面々、南波、権田、時光、西河、丘田の5人は式の帰りに催した細やかなお別れ会で思い出話で花を咲かすが、卒業間際に埋めた“或るもの”に話が及び、それを掘り返そうということになる。
その“或るもの”は夫々が、その頃抱いた思いを象徴するものたち。
この短編も磯部監督の体験に基づいて映画化されたとのことだが、そこから伝わってくるのは成りたい自分の未来像と成れなかった今とのギャップが醸し出す切なさ、そしてほろ苦さ。
彼らが過去を掘り出して振り返る“青春のモラトリアム”は、失われた青春の残り火のように彼らのハートに何かを灯したように見えた。