風来坊

追龍の風来坊のレビュー・感想・評価

追龍(2017年製作の映画)
4.0
どの国も激動の時代や暗黒の時代はありますが、1960年代の香港は英国統治で英国がやりたい放題。警察と黒社会の繋がりが当たり前で汚職も当たり前でスゴい時代だったのですね。
まあ中国に返還された今も変わっていないような気がしますね。いやもっとヒドいかな…。

チンピラから成り上がっていく黒社会のボスのシーホウと、警察官でありながら正義感などなく黒い野望を持つロック。
シーホウはまあ珍しくはないけれど、こんな腐った警官がいたんだなと。
更にこの話は実話に基づくという事が驚きですね。

日本でもそうですけど、中国、香港映画の話題作はキャストが固まってしまい同じ顔ぶれが多いですね。
確か香港映画は製作者や監督を中心にした、何々組みたいな感じの仲間意識が強い感じなので固まりやすいのでしたっけ?
安心感はあるのですが、またこの面子かと新鮮さはありません。

ドニー・イェンさんは何時ものカンフーは封印で格闘シーンはあるが役と映画に合わせて泥臭い喧嘩スタイル。
カンフー映画の影響で中国の方は誰でもカンフー出来るって変なイメージが付きましたが、本来はこれがリアルなんですよね。

アンディ・ラウさんは何時もの安定感。この人は悪い役をやらせても上手いですね。本当に悪い笑い方するんですよね(笑)
他の方も仰っていますが、この人は歳の取り方が遅い気がしますね( ; ゚Д゚)

甘い汁を吸う為にそれぞれの思惑が絡み合う展開が見事。
それこそ映画や資料映像でしか見た事がないですが、九龍城砦の雑多な感じや香港の昔の雰囲気の再現度はスゴい。
「暴風」シリーズで有名な汚職捜査専門機関ICACってこの時代に設立されたのですね。まああれだけやりたい放題やれば目を付けられますよね。

順風満帆かと思いきや少しづつ現実が狂い始める。時代に生かされ時代と共に堕ちていく…。男2人の野望と欲望をハードに描いた香港ノワールで見応えがありました。

まとめの一言
「仲間」
風来坊

風来坊