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ほえる犬は噛まないのTaiRaのレビュー・感想・評価

ほえる犬は噛まない(2000年製作の映画)
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ポン・ジュノって最初からずっと変わらないんだなって。ポン・ジュノ受賞おめ。

ほぼ団地だけで繰り広げられるそこそこシュールな珍騒動。アバンタイトルがほとんど台詞も使わず犬殺しに挑戦する主人公を描写していて、デビュー作らしい張り切りが見える。映画を作るぞっていう。劇中で起こる追走劇にしたって団地の廊下を右へ左へ走り回ったり、ドタバタを真面目にやってる。奥から手前への動きにサスペンスを盛り込んだり、空間の描き方が上手いなと。舞台も地下室から屋上まで万遍なく使っていて飽きさせない。左右/奥手前/上下の移動。道を転がる果物の動きや転がるトイレットペーパーの動きも変な間抜けさがある。要所要所で不意に表出する素っ頓狂なアクションが最高。コント的なニュアンス。消毒剤の散布(新作でもやってたね)による幻想的なビジュアルとかも良い。双眼鏡持ったペ・ドゥナが別棟の屋上で起こる事件を目撃してから走り出す瞬間がアガる。人物を後ろから追うカメラがポン・ジュノは好きだけど、デビュー作から効果的に使ってると思う。クソ野郎の主人公が改心した上で迎えるラスト、森林=イノセンス?との断絶と森林に囲まれるペ・ドゥナの対比は何とも言えない感じで如何にもポン・ジュノらしい。原題は『フランダースの犬』なんだよね。カラオケで歌も歌うしエンディングでも主題歌使う。「わすれないよ このみちを パトラッシュとあるいた ながいながいみちを」
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