キャッチ30

運命は踊るのキャッチ30のレビュー・感想・評価

運命は踊る(2017年製作の映画)
4.0
人の運命は予め決められているのか。それとも、偶然によって左右されるのだろうか。
『運命は踊る』は運命のいたずらによって引き裂かれていく家族を描く。

発端はミハイルとダフナ夫妻のもとに軍上層部が兵士であり息子のヨナタンが戦死したことを知らせるところから始まる。ミハイルは悲しみに暮れるが、数時間後に息子の死は誤報だったことが分かる。怒りに駆られたミハイルは軍上層部に息子を帰還させろと迫る。一方、ヨナタンは仲間と共に検問所で怠惰な日々を過ごしていた……。

検問所でのシーンは間延び過ぎるきらいがあるが、ある出来事をきっかけに兵士たちに緊張が走る。その後、ヨナタンに帰還命令が出る。思い返せば、コンテナの傾斜は悲劇の始まりだったのではないだろうか。沈黙と緩慢の陰で悲劇の芽が育っていくと言っても過言ではないだろう。

監督のサミュエル・マオズは人形を糸で操るように物語を展開している。荒野の広大さと室内の息苦しさを対比させ、俯瞰で映したショットは神の視点にも見える。