いち麦

グレインのいち麦のレビュー・感想・評価

グレイン(2017年製作の映画)
2.0
TIFF2017にて鑑賞。穀物は人の改造物。遺伝子操作の予期せぬツケを被る科学者らの苦悩。神をも窺わせる隠遁先駆者との邂逅を果たす彷徨信奉者。手付かずの生命との契り、再生は叶うのか。暗喩を鏤めた台詞と趣きあるモノクロ映像。だが虚構とはいえ、物質文明ー科学信奉サイドにおける荒唐無稽な現象説明が余りにお粗末なため、台詞での暗喩の勿体振り様が際立つ。不毛な地の景観の端に不用意にも写り込んでしまった動物、植物も映像演出的に不満。

日本じゃ安倍政権が、愚かにも大企業の営利追求を優先させて、種子法を早々に廃止に追い込んでしまった。見ていてタイムリーだとは感じた。穀物を“自然”ではなく“人間が手を加えた“人工物”と見做す視点もまぁ良い。
ただし、植物の品種改良をしている研究者には、その過程で稔性が落ちていく現象は割と普通に遭遇していて、元来、それをどう克服していくかも課題だから、掘り起こしから殆ど意外性もないんだよね。その上でこの展開だからな。正直、詰まらなかった。
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