初めて観たジョージア（旧グルジア）映画は、極めて静寂な世界でした。一言でいうなら、叙事詩的。だからこそ、観た人それぞれに受け取るものが違うのかもしれません。
トルコと国境を接する山間部には、昔から口承によって伝えられてきた物語があり、それがベースとなっています。古代から続く信仰と呪術の世界を生きる父親と、伝承者となりながら現代的生き方に惹かれる恋する娘。そんな中に迫り来る環境破壊の現状。
音楽や台詞すらほとんど省かれている映像の中で、キリスト教、イスラム教、そして無心論者の3人の兄たちが奏でる美しいハーモニーにもある種のメッセージ性を感じました。
この映画のゆっくりとした映像そのものが、忙しい現代社会に一石を投じているようにも思えました。
