ぴあフィルムフェスティバル、アルノー・デプレシャン監督特集で鑑賞。
映画監督のイスマエルは外交官の弟イヴァンを題材にスパイ映画を準備中。彼には天体物理学者のシルヴィアという恋人がいるが、20年前に失踪した元妻カルロッタの記憶に取り憑かれている。
アニエス・ヴァルダの別荘で撮影されたという海辺の別荘。そこで脚本を書きながらシルヴィアと過ごすイスマエルの前に、死んだと思っていたカルロッタが現れる。
彼が抱えた20年もの苦しみなどどこ吹く風といった余裕の笑みを浮かべる、マリオン・コティヤール演じる美しくグラマラスなカルロッタに、シャルロット・ゲンズブール演じるシルヴィアはあっさりと負けを認めるしかない。
マチュー・アマルリック演じる映画監督イスマエルは、感情的で気まぐれで時に過激な行動をとり、撮影現場から逃亡する。
映画監督が作品の中で監督を主人公にする時、自分自身を投影することが多いと思うが、物静かな雰囲気のデプレシャン監督のイメージとはどうも繋がらない。
監督はトークの中で、自分の日常は大したことないものだけど、映画の中では自分も素晴らしい体験ができるので、それが映画作りを続けている理由だと語っていた。
なので自分とは違うタイプのイスマエルの破天荒さは、監督の願望の表れなのかもしれない。
製作中の映画のシーン、過去のシーンが目まぐるしく入れかわる134分は、結構体力を消耗する。