映画に限らず、何かを強烈に愛することから逃れられない全ての人たちへ捧げたい素晴らしきドキュメンタリー。
マカロニウェスタンの大傑作「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」クライマックスのロケ地、サッドヒル墓地復元を目的にスペイン郊外の荒地に集まる国籍も世代も違う人々。
誰に頼まれた訳でもなくて、報酬がある訳でもなく、ただ「好き」だからという理由で重労働に勤しむ彼らを追いかけつつ、やがて「映画を愛する」という事がどういうことなのか？という普遍的な問い掛けの答えが露わになっていく。
はじめは彼らの行動に呆れつつも、徐々に愚直なまでに「好き」という気持ちに忠実な人々に自分を重ねてしまい、最後は号泣してしまった。
50年以上前に作られたカルト映画がバックグラウンドの違う人々をひとつの目的の為に繋げていくことに心が震えずにはいられない。
星空の下、スペインの荒野での上映会。
老若男女がスクリーンを観る幸福な姿は、なんと美しいことだろう！
自分の「好き」なものに触れていたい、一部になりたいという衝動は、確かに神聖である種の信仰めいていて、もしかしたら人間にとってある種の根源的な欲求であるのかも。
「桐島」の前田くんの台詞ではないけれど。
自分もそれに忠実で正直でありたい。
