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詩人の恋のIPPOのレビュー・感想・評価

詩人の恋(2017年製作の映画)
4.1
言い表せない感情が胸に押し寄せて絶句した…この痛み。良い作品だった。意外性のかたまり。

『息もできない』でその名を知らしめたヤン・イクチュン。本作は不思議なことに『息もできない』アナザーバージョンのよう。彼が出会うのは貧しい少女、ではなく、1人の青年。

導入は「男性原因の不妊」、「芸術家ゆえの低収入」など男性性の生きづらさが取っ掛かり。さらには中年が青年に不思議に惹かれていくプチおっさんずラブで広げていくものの…さすが、韓国映画特有の貧困描写と自意識強めのぶつかり合いと絡み合いが幾重にも重なる後半戦。

1人ぼっちの人が欲しいものならわかる
それは何があってもそばにいる人、1人だけでも、そういう人がいること。

それは恋でも同情でも同性でも歳の差があっても良くないか?そばにいる事が相互の日々の痛みを埋めるのなら。露骨に自己中に子どもを欲しがる依存的な奥さんの姿は妙なリアリティで凄みがあった。

チョン・ガラム青年って影のある青年役がどハマりするけど本作は彼の切なさと青さがものすごく光る演技だった。
※ガラム青年は『毒戦』の不遇の若手刑事、『感染家族』のゾンビ青年などで出演。ドラマ『ミストレス』のミステリアス青年も良かった。
おじさんは、結婚なんてしてなきゃ青年の夢を助けるパートナーとして近くに居続けることが出来たのに。…結婚って、子ども持つって何?みたいなことにも広がっていくテーマ性の奥行きがすごい。

見て良かった。
※ヤン・イクチュンがハナコ秋山に見える問題が勃発
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