こういうアメリカのコアな一部がチラ見えしてる変わり種に出会えるのも、映画の面白さかと。
さきほど定期受診の病院に向かう電車の中でスマホ見てて、オードリー・タン氏のインタビュー記事を読んでたら、バックミンスター・フラーの名前が出てきて。あーっっ!この映画で描かれてた人やんー!ってなって。過去レビュー引っ張り出して加筆修正している待合室😅
プロットは音楽青春映画だけど、自分が面白がれたのはそこじゃなくて。
ホームスクール育ちの少年が主人公。福音派のクリスチャン家庭かな?と思うがそうではなく。タイトルになっている「未来の家」というのが主人公が暮らしている住まいで実験的な建造物。(ジオデシック・ドーム) これがバックミンスター・フラーが考案した建物なんですね。主人公の祖母(エレン・バースティン)がこのB・フラー(通称バッキー)の思想に心酔して、今で言うSDGSみたいな考え方なんでしょうか、一人ひとりが生き方を変えれば世界は変わるんだと、エコな生き方を提唱している。
言ってみればバッキー教の狂信的信者で布教活動に人生を捧げてる人物。
主人公はこの祖母の教えに従って世俗から離れて(炭酸飲料NG、食事はヴィーガン食)暮らしてきたんだけど、ある日このドームハウスの見学ツアーでやってきた少年と交流が始まる。
世俗との出会いですね。
その子はパンク少年で主人公を誘ってバンドを組む。自由奔放に見えた少年の方も実は自身の問題、父との関係性で悩んでいた。主人公はパンク少年との付き合いの中でカルチャー・ギャップを味わい、自分がいかに偏った生き方をしてきたかという事実に気付いてしまう。
2人の少年がそれぞれに抱いている複雑な思いをパンク音楽で爆発させながらライブを夢みる・・・みたいなお話。
音楽を通じて友情をはぐくむって辺りは確かに青春映画なんだけど、肝心のバンド活動の描写がかなりいい加減なので、音楽青春映画好きの自分としては萌えさせてもらえない。
それよりはバッキーやドームハウス関連の描写の方が面白いのです。
純粋培養でバッキー思想を植えつけられた主人公の姿は、宗教2世に近い問題を孕んでいてザワつく。ただ、その考え方はたぶん間違ってなくて、もちろん犯罪行為でもないし、先鋭的なために世俗と折り合わないってだけなので批判すべきものでもなく。
この辺の「信念に生きる人」の取り扱い方が柔らかかったのが良かった。変人と切り捨ててなくて。
そして、こういう思想に前述のタン氏が共鳴しているのかなーと思うと実に感慨深い・・・🤔
そんな訳で、ヘンな映画だけど物好きな方にオススメしまーす。