ソフィア・コッポラ「マリー・アントワネット」(2006)みたいなフワッと雰囲気映画。
公務ダリィ~宮廷生活ウンザリぃ~美貌だけが私を私たらしめているのぉ~っていうアラフォー女子を描いた感じ。このエリザベートを演じているのが「ファントム・スレッド」(2017)でモサッと鈍重な雰囲気だったヴィッキー・クリープス。ストーリー含め、もろもろイメージをちゃぶ台返し、でしたね。
一人の女性として苦しんで、もがいてるって感じは分からなくもないし、大胆な脚色によるアナザーストーリーとして楽しめば良いんだろうけど。同様の作風なら「スペンサー ダイアナの決意」(2021)なんてとても良かったんだけどな。
んん~やっぱり見た目の寄せ方やキャスティングも大事じゃないかしらん。
美人で名高いエリザベートなのに、敢えて容色が衰え始めた四十路にフォーカスしてるのは狙いなんでしょうねぇ。加齢によるアイデンティティークライシスかー・・・。
女は見る主体ではなく見られる客体にされがちで、より一層「美」を求められる、という男女の非対称性。彼女はそういう、他者から求められる自己像しか愛せなくなっていたけど、やがて自縄自縛の呪いから解き放たれて自由になる。そんな物語だったかな。
・・・そこで私の脳内で鈴木雅之が暴れ出す。
違う違う、そうじゃ、そうじゃな~い~♪
少女漫画脳の自分は爆美女エリザベートが無双する様が見たかった、というのが本音。
強迫的に美容と痩身に努める痛々しさと空虚さを、圧倒的なビジュで捻じ伏せてくる絶世の美女だったら・・・。萌えます。
ルートヴィヒ2世とイチャイチャするシーンがあったけど、ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」(1972)ではロミー・シュナイダーがエリザベートだったからなぁ~、なんてため息つくのも詮無いこと。ヴィッキーごめんね。