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失明に関する所感のsashaiceのレビュー・感想・評価

失明に関する所感(2016年製作の映画)
3.8
暗闇から光の方へ。"私がそれを理解しようとしなければ、それが私を打ち負かすだろう"。息子が生まれる前に失明してしまった神学者が光のない世界で生きる所感をオーディオカセットに日記としてまとめた貴重なドキュメンタリー。科学的に客観的ってよりはかなり主観的に叙情的に描かれている。限りなく光を失った人の視点や世界観に没入できるように工夫された演出。そこで住むことを余儀なくされた主人公の異質の世界観。現実社会で生きるか、思い出の中で生きるか。何かを共有できない孤独。戻らないと分かっている光に失望しながらも、自分の中に閉じこもらずに世界と繋がることをやめなかったその強さに感動。脳が食べることを欲するのと同じように見ることを欲しているのにそれができないから乾きと飢えがやってくるっていう感覚が興味深い。
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