亘さん

ファイティング・ファミリーの亘さんのレビュー・感想・評価

4.9
今回は筋肉レビューではなく、WWEについて書こうかと思います。WWEとは世界最大のプロレス団体で70年近い歴史があり、1番組あたりの平均視聴者数は250万人と言われている一大エンターテイメイント。

WWEの中には「ザ・ロウ」「スマックダウン」「レッスルマニア」が3大番組で、93kg以下の選手達が戦う「205ライブ」、次世代スター発掘番組の「NXT」と基本的にはこの4つの番組を全世界に放映している。
そこから分かる通り、ヒロインのペイジはNXTからスマックダウンへ一気に引き上げられた・・・ように見えるけど実際には違う。2011年にWWEと契約後、「アンチ・ディーバ」として3人のタッグを組み3年の下積みを経てNXT女子王者となった。
またこの頃はロック様がドゥエイン・ジョンソンとして『ワイルド・スピード:MEGA MAX』に出て一躍人気が出ていた頃で、撮影時の2009~2010年はプロレス業界から離れていたので、映画のなかではロック様がペイジに気を掛けてスマックダウンに抜擢したような話になっているが、そこも実際には脚色されている所。
ちなみにロック様がプロレスに復帰したのが2011年。復帰というかファンサでマイクパフォーマンス程度の事をしただけで、俳優として契約していたので本格的なプロレス復帰戦はもう少し後になる。

プロレスは日本ではもうあまり人気がなく、テレビ放映も深夜に少しやる程度なのが残念で仕方がない。だから多くの人は「プロレスって出来レースで台本があるんでしょう?」とよく聞いてくる。当たり前だ。あんな激しく(見える)技を毎週やっていたら怪我だらけで1年も選手生命がもたない。なので対戦相手とは綿密に打ち合わせをしてどういう流れを作るのか、どういう見せ場を作って盛り上げるのかが何よりも重要になる。
WWEでは全ての試合がストーリーを重視している。そこが観客が熱狂する最大の魅力でもある。

あらかじめ分かっている結果で何故そんなのが面白いのか?と不思議に思うかもしれない。これはもう「クリスマスのサンタクロースが実在するか」という問いと同じだと私は思う。サンタクロースなんか実在しないと分かっていても、宗教が違くても、クリスマスはやっぱりウキウキするしプレゼントを貰うあげるのは誰にとっても嬉しい。トナカイが引く空飛ぶソリに乗ったサンタクロースが子供達にプレゼントを配って廻るのと同じで、選手達は自分たちの身体を張った技とマイクパフォーマンスで観客たちに夢を見せる。そしてそれはほんの一握りの選手にしか出来ない才能でもある。

ペイジがラストのマイクパフォーマンスで「このベルトはあなた達の物だ。あなた達と私のようなフリークスの為に!」という言葉は本当に感動する。観客を一気に引き寄せた言葉が彼女自身から出たものだから。

映画の中ではザ・ロック、ジョン・シナ、ランディ・オートン、ザ・ミズ、ビッグ・ショーなどのWWE大スターがゴロゴロ出てくるのでファンには「うおおおおお!」と興奮するようなサービスもあって、見ていて大満足だった。
ストーリーはスポ根モノだけど、悪い人間が誰一人出てこない。みんな夢に向かって死に物狂いで努力をして、その舞台のために存在しているという姿に涙せずにいられませんでした。
※ちなみにペイジのお母さんはペイジとアメリカのローカル団体に所属していたらしい。
※参考までに今一番面白いのはWWEよりもAAAというメキシコの団体がアメリカのプロレスに喧嘩を売ってる「ルチャ・アンダーグラウンド」で飛び技が多い超高速展開が最高。
亘さん

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