岩嵜修平

天命の城の岩嵜修平のレビュー・感想・評価

天命の城(2017年製作の映画)
3.5
『イカゲーム』ファン・ドンヒョク監督による本格時代劇。1630年代、清と明が覇権を争う中で、隣国の朝鮮に清が攻め入った「丙子の役」を朝鮮視点から描く。2018年当時での隣国の北朝鮮や中国を踏まえつつ、凡ゆる人物が野卑と化す戦争の、そして人間そのものの愚かさと貴さを描く。

あまり韓国や中国の時代劇を観たことがないので比較は難しいが、美術や衣装を含めてその時代の表現もアクションもバイオレンス描写も、勿論イ・ビョンホンを始めとしたキャストの演技も高レベルで、とても見応えがあった。戦シーンの生々しさは、あまり日本の時代劇には無いリアルさで、優れた技術。

イカゲームとの接続で言えば、あのキャストの重なりの他に、戦の場を設けた人間と、現場で戦う人間の不条理な関係性が、イカゲームにも通じる。戦争は形を変えながらも、本質は変わらず、現場にだけ悲劇が起き続けている。現場の人間は、逃げ場がなく、自らの意思で戦に向かう。そして戦に狂わされる。
岩嵜修平

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