FREDDY

天命の城のFREDDYのネタバレレビュー・内容・結末

天命の城(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1936年に起こった「丙子の役」を題材に、韓国でベストセラーとなったキム・フンの同名小説をファン・ドンヒョク監督が映画化した本作。率直に言って、描かれている内容が内容だけに、"気が滅入る作品"といったところですかね。とても重要な映画であることに間違いはないのだが、たくさんの事を学び、たくさんの事を考えさせられると同時に心が憂鬱になると言いますか、居た堪れない気持ちで胸がいっぱいになりましたし、この重く苦しい複雑なものから逃れられず、視聴後もしばらくの間、尾を引きました。ただ、チェ・ミョンギルを演じたイ・ビョンホンやキム・サンホンを演じたキム・ユンソク、ソ・ナルセを演じたコ・スなどといったキャスト陣は魅力的で彼らの演技から目が離せずにいましたし、イ・シベクを演じたパク・ヒスンやキム・リュを演じたソン・ヨンチャンも目に残るものがあり好印象。そして、清の軍勢12万人に包囲された、進むことも退くこともできない孤立無援の“南漢山城”を舞台に、清との和平交渉を突き通す吏曹大臣チェ・ミョンギルと、大義と名誉を重んじて徹底抗戦を貫く礼曹大臣キム・サンホン、激しく対立する大臣たちの間で苦悩する、パク・ヘイルが演じる朝鮮の王・仁祖を軸に描かれる物語は、1636年から1637年にかけて清が李氏朝鮮に侵入し制圧した戦い「丙子の役」が題材となっており、国の天命を背負った男たちの47日間の闘いが映し出されるのだが、これが実話であることには当然驚きましたが、それよりも、朝鮮にとっては目を伏せたくなるような歴史だと思われる「丙子の役」を映画化したことに感慨深いものを感じましたね。朝鮮の王・仁祖が平民の衣服に着替えさせられ、受降壇の最上段に座る清の第2代皇帝ホンタイジに向かって最下壇から手を地面につけ額を地面に打ち付ける「三跪九叩頭の礼」で許しを乞う様は到底直視できないものでしょうし、それ以前に"朝鮮が40日余りの篭城の末に降伏する"という結末に言い知れぬ複雑な感情を覚えるのでは。そういった意味でも本作はとても重要な作品だとは思いますし、映画としても見応えがあって観る価値は大いにありました。
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