柏エシディシ

ローマンという名の男 信念の行方の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
「ナイトクローラー」のダン・ギルロイの新作という事で、公開を楽しみにしていたら、いつのまにかビデオスルーしていた…泣
内容が微妙なのか?と思って観たら…面白いじゃないかーい!

清貧を貫いてきた不器用ながら優秀な人権派弁護士が、理想への失望感と共に道を踏み外していくリーガルドラマ。
主題は目新しくはないものの、デンゼル・ワシントンによる主人公「ローマン・J・イスラエル Esq」というキャラクター造形が凄まじく、引き込まれる。
髪型、装い、立ち振る舞い、喋り方。
デンゼル・ワシントンではなくて、完全にローマンという男。圧倒的実在感。
そして、ローマンという男が象徴するのは、アメリカという国が、嘗て希求していた理想と正義の在るべき姿。
故に、そのあまりにも滑稽で、無様で、悲しい行く末に観ている此方も居たたまれなくなってしまう……
「ナイトクローラー」において「アメリカという国の暗黒面」に迫ったダン・ギルロイは、本作でも容赦なく、主人公を追い詰めていく。
しかし、それでも僅かな希望を託す様な終幕に、この映画から宿題をを与えられたような気持ちになる。
柏エシディシ

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