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アイリーン・グレイ 孤高のデザイナーのげのレビュー・感想・評価

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「ル・コルビジェとアイリーン〜追憶のヴィラ」(コルビジェがゲス野郎として描かれているドラマ映画)を観た後に鑑賞。

映画の前半は家具デザイナーとしてのグレイの功績について。家具に漆を取り入れるために日本人の漆職人のもとで勉強した(そして漆でブレイクする!)というのは、日本人として嬉しい。あと、グレイの代表作としてブリックスクリーン(動かせる仕切り間)が取り上げられていて、映画では可動式の家具を作ったのはグレイが初!って紹介されてたけど、この動かせる仕切り間、、、おそらく我が国の平安貴族が使っていた「屏風」からインスピレーションを得て作ったに違いない(我が国も中国から輸入したのかもしれんけど)。

映画の後半は建築家としてのグレイ(とコルビジェ)について。一番印象に残ったのは、アイルランド博物館のグレイ研究の第一人者の分析によると、グレイが設計した住宅(E1027)は、コルビジェが彼の両親のために設計したスイスの住宅と驚くほど似ていたということ。コルビジェがE1027を盗作だと言ったのも理解できる。けど個人的には、自分のアイデア図面を弟子(グレイ)にたくさん渡しておいて、これ俺のパクリやんか!って言うのはコルビジェもちょっと可笑しいと思う。けど確かに、コルビジェが持論(近代建築5原則)を具現化する(サヴォア邸を完成させる)前に、グレイがそれを具現化した(E1027を完成させた)のは、師匠であるコルビジェに対して配慮が欠けていたとも思う。どっちもどっちですな。
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