にゃんこむ

証言のにゃんこむのレビュー・感想・評価

証言(2015年製作の映画)
3.4
戦士たちが自国の市民あいてに残忍な行為を働いたとして告訴された。コンゴ歴史上最大のレイプ裁判に関する短編映画。

〇2012年のこと、反政府軍M23は都市ゴマを武力制圧。
コンゴ国軍は士気を喪失しミノヴァへと撤退。
そこで数百人の民間人に対し組織的な強姦を行った。
その残虐行為は国際的非難を引起し国際社会の介入は必至だった。

ネトフリのドキュメンタリー制覇したいなぁと思って、ちょくちょく観てはいるんですが、この作品は観る前から嫌な予感しかしませんでした。
まず初めに、子供を兵士に殺された女性のインタビュー。
兵士は父親のナタを奪い、少女をレイプし切り刻みました。

そもそも、なぜそのような事態になってしまったかと言うと、
始まりの種火は天然資源の争い。
しかし、活動家の女性の口から出てきたのはこんな言葉。
「兵士がここで戦うのはコンゴを守るという使命のためです。
でも、敗北し使命の遂行に失敗したら、略奪やレイプや殺戮を始めます。政府は懲役20年を科すというけれどコンゴではそれは嘘なんです。翌日には加害者と街で出くわし”探し出して殺す”と言われてしまう……」

裁判は異様でした。
被害者はみな、黒い布を被っていてまるでISISの殺害映像の被害者のような……。
しかし、この”異様”な恰好も、報復を考えると十分すぎる大作と言えます。

そもそもの発端は戦争やなんやかんやではなく、女性の社会的地位の低さがあります。
同じようなドキュメンタリーで『自由と平等への闘い』がありました。そのドキュメンタリーでも、女性が学校へ行けない事により就業が制限され、畑仕事や家事育児くらいしかできず、結果夫の庇護のもとでしか生きられず、低所得から子供にもその連鎖が続くことです。

女性が社会進出ばかりする世界もどうかと思いますが
(個人的には家事育児と就業を両立できるほどシャッキリしていないので、子供産むんだったら家庭に入らせてくれ!と切実に思うタイプなので)
女性の地位が限りなく低いからこそこのような事が起こってしまうんですよね。
戦争がきっかけかもしれないけれど、根底にあるのは絶望的なまでに覆せない男尊女卑なんです。

しかし、活動家たちが立ち上がることで、裁判でも女性たちが発言できるようになってきました。
襲われたり命を脅かされたりしながらも声を上げた結果です。

こういうドキュメンタリーを見るたびに、早く社会が良くなってくれないかなぁと切実に思います。
にゃんこむ

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