にゃんこむ

移動都市/モータル・エンジンのにゃんこむのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ツッコミどころを上げたらキリが無い、100個以上は簡単に見つけられると思う。
でもそれ以上にカッコイイ映像や設定をこれでもかとつぎ込んだ作品だと思います。CGもちゃんと作られてるし、映像にチープさはあまり感じない!むしろ豪華!!

舞台は〝60分戦争〟の後荒廃した地球。人々は移動都市に移り住み、他の都市を"狩って"資源を奪わないと生活できないくらい困窮していたりする。
一応未来の世界を描いてる作品だけど、設定はほぼファンタジーで異世界モノっぽいので唐突に出てくるミニオンが古代の神様扱いなのには笑ったし、ロンドンという単語を聞くたびに「ああ、ここは一応地球が舞台だったんだなぁ」と思い出すくらいには異世界モノっぽい世界観。

まず、突っ込みどころとしては、ハウルの動く城のようなごちゃごちゃっとした小さな移動都市から、戦艦のような移動都市まで様々な都市が出てくるんですが、「そもそも住居ごと移動するエネルギー量どんだけかかるねん。非効率過ぎるでしょ」って思うわけです。農耕もしないのにどうやってそんな大量の市民の食事賄ってるの??とか。
でもこの映画は移動都市一つとっても同じようなのは出てこないし、どれもカッコイイ。
甲殻類?虫?みたいなホテル型移動都市(?)のビジュアルとか、すごく好き。
闇市に集まる小型の移動都市もいちいち好き。

へスターという主要人物の女の子は、『復活者』というロボットのような心のない存在に育てられるのですが、8歳の女の子が1000年前の古代人が残した缶詰やコンビニのパンのようなものを与えられて、それを食べて生き抜くのは100歩譲ってわかる。でも、どこからそれを拾ってきたんだろう。大人になるまでに食べる量ってそこそこあると思うんだけど……とか。
僻地に住んでいるのに、親の仇が近場に来るという情報をどうやって手に入れたんだろう、ラジオやテレビも無い世界だろうに。そもそもそこまで行く交通手段が無いよなぁ……とか。
でも、『復活者』のビジュアルとか設定とかはカッコイイですし、そういう細かい所は気にせずガンガン色々と詰め込んでくれる所がこの映画の良さだと思います。

この映画を見て、ほぼ100%の人は『ハウルの動く城』を思い出すと思いますが、この監督はそもそもジブリが好きでめちゃくちゃ影響されてると思いました。
出てくる空挺とかはラピュタっぽいし、一番カッコイイ空挺は真っ赤で紅の豚っぽいし、一番活躍する人は東洋人だし、最後の悪役が死ぬところはカリオストロっぽい(これはこじつけな気もする)

原作小説がある作品ではありますが、監督が色々な作品に影響されて『カッコイイ』を詰め込んだ映画だと思います。
これを丁寧に作ったらスターウォーズ並みに壮大で練られてる作品になるはず……と思うくらいにはポテンシャル秘めてるはず。

そもそも、1本の映画にこのストーリーを詰め込むのが無理過ぎる。だからご都合主義的な突っ込みどころ満載の感じになっちゃっているんだと思いました。
せめてこの作品をきちんと描き切るなら三部作でやらないと無理……。
映画自体はちゃんと作られているだけに、評価が低くなってしまっていて残念です。
にゃんこむ

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