冬出カエル

娼年の冬出カエルのレビュー・感想・評価

娼年(2018年製作の映画)
3.5
最初は荒々しく触れていたリョウの手が、次第に慈しみを帯びていく様子。女性に母親を重ねるのは今昔問わず映画にありがちだけれど、リョウは其処をきちんと昇華できたのだな、と思いました。

桃李くんエロかったなど感想ください! って言っていたインタビュアーの方にまだ怒ってるんですけど、まあ其処はイチオシですよね。わかります。衝撃的だし、その言葉で観に行く人も多いだろうし。

でもあんなに美しく脱いだ女性陣や、言葉はあまり発さないながらももしかすると何処までも母性を秘めているサクラ、幼馴染の心境、セックスの根底にあるどこか笑ってしまう感じや泣きたくなるような部分にプラスして笑いどころもあったりなんてして、エロかった! だけで終わらせたくはないなと思ったので。

リミット・オブ・スリーピング・ビューティの桜井ユキさんの幼馴染の心境に涙腺がやられました。あとサクラの天使みたいなあどけなさを上手く表現してらした冨手麻妙さんに持っていかれました。そして猪塚健太さんがめちゃくちゃ美しかったです。エロくないといえば嘘になりますが、どことなくそれだけでなかったのは音楽のおかげでしょうか?カメラワークはなんとなく男性らしさを感じました。

個人的にはクライマックスのあたりの演出がどうしてもすきにはなれなかったのですが、全員に救いのある感じが好きでした。これをスクリーンでやるのはお見事です。松坂桃李さんの見せる不安定さが軋むことなく安定していく様子は、本当にリョウに光があったようで良かったです。

正しくないけど、けして正しくはないんだけれど、救いのある映画でした。江波杏子さん、まだまだ続けてください! 美しかったです。
冬出カエル

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