産まれてすぐにバブル崩壊、就職活動をする頃にはリーマンショック。うまくいかないことを時代のせいにされ、やりたいことをやろうとすれば否定され、敷かれたレールを歩けば弾かれる。そんな社会的重圧の中で育った、プレッシャー世代と呼ばれる人たちがいる。そして、同じ世代に生まれた主人公の二人もいつしか、自分たちの人生を環境のせいにするようになっていた。 北海道・積丹郡美国町で、同棲生活をしながら共同で漫画を執筆している楓子と小山内。二人の漫画家としての収入は殆どなく、生活を支えているのはアルバイトで稼いだ給料。そんなジリ貧生活の二人に追い打ちをかけるかのように、周りの同業者は売れていき、久しぶりに帰った実家では確実に老いていく家族の姿を目の当たりにしてしまう。 日々の不満をぶつけ合いながら、成功できない理由を相手のせいにしては、悪化していく二人の関係。 そんな行き詰まりの生活から抜け出すため小山内は新たな作品の執筆に取り掛かる。それは、自分たちが主人公の漫画。「二人で描けば、絶対に面白いものになるんだって」 一方で30歳を目前に控えた楓子は、恋人同士で漫画を描いていくことに対する疑問を日に日に膨らませていた。「二人で居るから、うまくいかないことが多いと思う」 いつまで経っても足並みが揃わない、いつまで経っても自分たちのことが見えない二人が、漫画家として生きていくために選んだ道とはーー。
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