マクガフィン

Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.1
小説「クリスマス・キャロル」の誕生秘話を描いたファンタジードラマ。

「クリスマス・キャロル」の小説内容が分かっていることと、その誕生秘話を描いたも物語であることが分かっていることが前提のようなフォーマットに。ファンタジー要素を含むことも相俟って、頭の中が整理するのが困難に。因みに、小説の知識が全く無いので、鑑賞後にわかったこともチラホラ。小説の説明がないことは、キリスト教文化圏やキリスト教では、凄く身近なことなんだろう。

格差社会を時代背景として、むき出しなエゴを幽霊たちのガイドにより、自我を見直して開放するのだが、経緯がユニーク。小説の創作は、キャラを作り上げて、小説内の実際の物語と現実と幻想をリンクさせながら展開するので、過去作のオマージュを散りばめた作品と同様に、小説の知識が高いほど楽しめるだろう。

しかし、創作の葛藤はまだしも、父親に対する葛藤が上手くなく、父親への赦しや、自己のトラウマの解放した先にある、幸せのカタルシスが弱い結果に。父親の反省が全く見えない飄々とした性格も如何なものか。タイムリミットを設定したことも、上手く活かされて無い。

幸せはお金では買えないので、お金だけでなく、人と人との愛のある繋がりが重要で、〈強きものは、弱きを助け〉必要性を提示する、普遍的なメッセージに。キリスト教文化圏での、クリスマスは家族と過ごすことが多いことや、クリスマスに寄付金が多いルーツに繋がる、文化的解釈が分かったことが一番の収穫。