Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~の作品情報・感想・評価

「Merry Christmas!~ロンドンに奇跡を起こした男~」に投稿された感想・評価

Eve

Eveの感想・評価

4.0
クリスマスに纏わるお話しの映画は、日本人の私には素敵な物語に聞こえてしまうし、映像も違う世界への誘ってくれるので大好きです。
こちらの映画も、音楽が素晴らしかった!
主人公の頭の中を覗き込んで、話しを作り上げていく過程を一緒に楽しむ感じのストーリー展開。
主人公には悲しい過去があり、本を一冊作り上げる過程で過去と向き合う事となります。悲しみは、記憶を書き換えてしまったり封じ込めたりもします。主人公も嫌な思い出として悲しい出来事の記憶が、親に捨てられた過去として書き換えられいます。
子供時代のことにはふれたくなかったけれど、本を書き上げるに伴い、向き合わざるを得なかった主人公ですが、向き合った事で自分と周りを許し、気持ちがかわり、そのおかげで作品も出来上がり、家族とも更に絆を深められて、クリスマスにぴったりなお話しでした。
最近、映画を観ても感想を書かなくなりましたが、この映画を観て感想を書かざる得ない感情になりました。

素晴らしい芸術というか、自分の納得がいく作品を生み出す苦労や葛藤と、金銭的に余裕がなく焦る気持ち。

ディケンズの置かれている状況が、今の自分に照らし合わされ、この作品に、のめり込むしかありませんでした。

締め切りが近くなりピリピリする空気感、アイデアが出ないイライラ感と、緊張しっぱなしでしたが、
最後に最高の作品が出来た時の、ディケンズが、ほっと息を吐き、胸をなでおろすシーンは、自分の息を吐いたタイミングと一緒だったので印象的でした。

そして、これは私事ですが、最近、派手な映画以外は映画館で観ても意味はあるのかと悟ってしまったが、大きな間違いでした。
没入できる環境じゃないと、十分に作品を堪能できないことに気付かされた映画でした。
エンドロールが終わって余韻に浸たりました。
Dick

Dickの感想・評価

4.8
❶マッチング:消化良好。

➋世界中で行われているクリスマスのお祝いの元となったのは、英国の文豪チャールズ・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens、1812 - 1870)の不朽の名作『クリスマスキャロル/ A Christmas Carol(1843)』の影響が大きいと言われている。ディケンズの作品中、小生が一番好きな作品である。

➌本作は、この『クリスマス・キャロル』が如何に誕生したのか、その創作過程を、史実とフィクションを巧みに交絡させて描いたファンタジー。
①『ピクウィック・クラブ遺文録/The Posthumous Papers of the Pickwick Club (1836~37)』と『オリバー・トゥイスト/Oliver Twist (1938)』の成功により、一躍時代の寵児となったディケンズだが、その後の2作が不評でスランプに陥り、家族や家の維持費で金欠状態になっていた。
②何とかヒット作を生み出そうと奮闘努力する中で、ディケンズは新しいメイドのタラが子供達にクリスマスの話をしているのを聞き、クリスマスを題材にした小説を書くことを決意。出版社からの前金の条件は、クリスマスまでの6週間以内に完成させること。
③ディケンズがアイデアを練る中で、墓場で出会った男にスクルージという名をつけ、彼を主人公として物語の構想を固めていく。その過程で、タラやジョン・フォースター(チャールズの友人、エージェント)等との意見交換がある。
④それからは、小説の世界と現実世界とを交絡させた描き方になり、上記のスクルージを筆頭に、マーレイ、クラチット、ティム、3人の幽霊、等の小説中の人物が登場する。
⑤作家が、自分の作品の登場人物と交流する例は、これまでにも幾つかあった。
本作はその過程で、色々試行錯誤を重ねながら、完成度を高めていく。
その内容が、我々が良く知っている『クリスマス・キャロル』へと収斂していくので、実に気持ちが良い。
⑥一方ではディケンズの両親がディケンズの家に押しかけてきて、父親がディケンズの執筆を妨げる行為をする等の問題が起きる。
⑦ディケンズは少年時代に父が借金で投獄されたために、靴墨工場できつい労働をさせられた苦い思い出がある。
⑧等々、色んな問題を乗り越え、遂にクリスマスの傑作が誕生するのである。
Merry & Happy Christmas !

❹トリビア1:サッカレー(William Makepeace Thackeray、1811 - 1863)
①ディケンズのライバルとして登場する作家・批評家のサッカレーの描き方が効果的である。
②サッカレーの『バリー・リンドン(Barry Lyndon、1844)』は、映画ファンにとっては、スタンリー・キューブリックの『バリー・リンドン(1975) Barry Lyndon』の原作として知られる。

❺トリビア2:『吸血鬼ヴァーニー/ Varney the Vampyre, or, The Feast of Blood(1847)』 
①若いメイドのタラが愛読していた小説が『吸血鬼ヴァーニー』。
②これは、19世紀の煽情恐怖小説の代表作。
当時のイギリスでは、「ペニー・ドレッドフル(Penny Dreadful)」 と呼ばれる廉価な大衆小説が一世を風靡していた。今の文庫本のようなもので、週刊や月刊形式で販売された冊子の連続読物。
『クリスマス・キャロル』等の単行本は、本作で見られる通り、立派な装丁で非常に高価なもので、大衆は貸本屋を利用するしかなかった。それが「ペニー・ドレッドフル」の登場によって、出版市場は爆発的に拡大した。
③『吸血鬼ヴァーニー』 は2段組、876ページ、232章、667,000語からなる大長編で、『戦争と平和』 と 『風と共に去りぬ』 を合わせたよりも長い。
④109回の週刊形式で刊行された本書の原本は、1970年代にこれを合本復刻した本が出るまで大変な稀覯書だった。
⑤現在に至るまで全訳の邦訳はないが、部分訳や解説はある。
ⓐ『アンソロジー・恐怖と幻想〈第1巻〉 (1971)』月刊ペン社:第1章が 「恐怖の来訪者/武富義夫訳」 として収録。
ⓑ『出口なき迷宮/紀田順一郎編(1975)』 牧神社:荒俣宏担当になる 「『吸血鬼ヴァーニ』 ヴィクトリア朝の夢に寄せて」で粗筋と当時の出版状況についての解説がある。
その中に、本作に登場した『吸血鬼ヴァーニ』の原作本の写真が収録されている。本作の時代考証は確かである。
kozuemon

kozuemonの感想・評価

4.0
作家の産みの苦労とお金の問題が胸に沁みました。
そして産業革命時代のロンドンを垣間見ました。
見てよかった。
郷里

郷里の感想・評価

3.4
チャールズ・ディケンズによる『クリスマス・キャロル』の創作過程を描く。
ディケンズ自身の過去、現在と空想が混じり合うドラマティックな演出で、ドキュメンタリーと言うよりファンタジー寄りの作品。

借金や父親の問題にイラつきながらスクルージと対話するディケンズの姿は、なんだか精神の不安定さの表れのようでハラハラした。
作家の産みの苦しみ、リアルだな。
しかし最後はめでたしめでたしで終わる、この感じはまさに『クリスマス・キャロル』そのもので、総じてハッピーな物語だった。

正直すごく楽しめたのは、私が元々『クリスマス・キャロル』大好きだからなんだろうな。

かの名作が、ディケンズの少年時代や身のまわりの人々を基に書かれたことがよくわかる。
スクルージがディケンズの半身、魂の一部として描かれているのが印象的だった。

スクルージのビジュアルがイメージぴったりで、何よりそれが嬉しい。
マーレイと〈現在のクリスマスの幽霊〉もぴったり!

ヴィクトリア朝ロンドンの街並みや服装や調度品も素敵だった。
小夜子

小夜子の感想・評価

4.0
クリスマスキャロルの作者が、スクルージと対話しながら物語を編んでいくという表現が、ファンタジーと伝記ものを上手にMIXさせていて、ワクワクしました!
窓

窓の感想・評価

3.3
すごくファンタジーという訳では無いのでポスターに騙されないように…!あと、子供向けではないと思います

クリスマスキャロルの誕生秘話ということで、大きな波がないのはまぁ納得です

頭の中と現実との違いの描き方がすごく好き。そもそもこの年代のイギリスの雰囲気が大好きなので個人的には大満足な作品です

何かを作る時の上手くいかない思いつかないあの感じ、すごく共感…
ポスター詐欺感は否めないけど、今のクリスマス文化を作ったのが″クリスマスキャロル″だなんて!出版が1843年って日本は江戸時代、凄いロングセラーに驚く
アメブロを更新しました。 『「Merry Christmas! ロンドンに奇跡を起こした男」クリスマス・キャロルは名作です。』https://twitter.com/yukigame/status/1070697832108027904
☆☆☆★★

ディケンズの『8 1/2』? 簡単に。

普段は字幕版しか観ない派なのですが、吹替版しか上映されていないので、やむなしの思いでの鑑賞。
しかし、この作品に関して言えば。吹替版を観て正解だったのかも知れない。
芸術を生み出す苦悩とは言え、画面全体は終始暗く。とてもクリスマスに相応しい内容とは言いづらい感じがしたのだが…。

単純に、台詞が多いから…ってのも有るのだろうが。ディケンズの苦悩を表現するかの様に登場する、スクルージ役のクリストファー・プラマー。
プラマーが画面に登場する度に、画面に躍動感が生まれ。作品に深みが生まれているのも、その1つと言って良いのかも知れない。

それにしても。クリスマスシーズンで有りながらも、実に寂しい客入り。いかに宣伝費等で大きな違いが有るとは言え。最早ディズニー以外の作品でヒットするクリスマス映画が今後登場するのだろうか?…と、少し考えてしまった。

2018年12月9日 イオンシネマ市川妙典/スクリーン7
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