以前から気になっていた作品。「見始めたら、止まらなくなるだろうな…」
やっぱり、そうなった(笑)
Bluesの2大巨頭、Howlin'WolfとMuddyを支えたバンドマン達だ。
【音楽的魅力】
・Hubert Sumlin=Wolfのドスの効いた唸り声にHubertのエキセントリックなカナキリ高音は、絶妙な緊張感を造りだす。
・Pinetop" Perkins=Pinetopの軽やかでリズミックな右手は、軽妙な跳ねる音をつくりギャロップした雰囲気を造りだす。
・Wille 'big eyes' smit=Willeのドラミングは、無理に打ち込もうとせず、間合いを視ながら曲全体をロールさせる。
正しく、Rock'n&Rollの原型だ。私達が熱狂し、激しく体を揺らし、頭をかきむしる音楽の基本はここにある。映画で登場する名だたるRock'n&Roller達が、その本質的魅力を熱く語る。(B's稲葉が高音でシャウトし、清志郎が跳ねるリズムは間違いなくこれを模したモノ)
【映像】
▪英国で'62年から始まったAmerican Folk Festivalからの映像が多用される。彼らを正面から捉えた映像は英国のこれくらいしか無いのが当時の現実だった(後に米国内で評価見直しされ、発掘された映像は出てくるが…)。その辺りのBlues復興気運は、映画内でしっかり取り上げられる。
▪英国の若造達を、位を介せず偉ぶらず真摯に接しBluesの魅力を伝授したのが、アノ大男Howling Wolfだったのは、昔から聴いているが(London Sessions)、改めて感慨深い。奴の度量の深さがなければ、今頃古臭いノスタルジア音楽になっていたろう。
▪もう1人、本作品には触れられてないが、これらの橋渡し役としてWille Dixon を忘れてはならない。
【当時の日本】
▪日本でも、'86年からBlues&Soul Carnivalが催され一時的ブームがあった(地方の私も多少は味わった口🤭)
だが、それとは別に世の流れは変化していく。
【音楽Scene】
映画でも描かれるが、'80年代後半~'90年代にかけて当時の音楽シーンが、どんどん洗練化され泥臭いBluesは下火となっていく。Respectはあるが、積極的に聞こうという雰囲気ではなくなった。それは、African-American でも同じ。
当時、米国で徘徊していた私は、LAの某有名Record店で店員に'No blues records on shop ?'と尋ねたら'Something weird is going on here?'という表情をされ、渡されたのは、日本盤編集のMuddyのBest 盤だった…という笑うに笑えない話。
【文化保護】
▪あれだけ卑下していたのに、英国に指摘され、その重要性を認識すると、ちゃんと文化評価と保護に動くのは、やはりアメリカの良さであろう。ただ、この再評価活動も、一朝一夕でなったわけではない。Stevie Wonderは、早くから自ら著作権保持に拘り、Michael Jacksonは著作権管理の重要性をAfrican-American達に呼びかけた。R-stonesだって、Led-Zepだって当初はBlues Numberの著作権名を自らにしていて長く法廷で著作権限争いをしていた時期があった…。
ともあれ、彼らバンドマン達も正当に評価することには厭わず、今の様な状況になった事を伝えて終えたい👏👏👏(笑)