南アフリカに住む95歳の祖母を孫が撮影・インタビューで行っていくドキュメンタリー作品。

家族を翻弄し自由気ままなこの祖母は‥ソシオパス。

ソシオパスとは。（Huffpostより）
①過大な自我の持ち主
②嘘をつき人を操る
③共感の欠如
④自責の念や羞恥心の欠如
⑤恐ろしく危険な状況でも落ち着いている
⑥無責任で衝動的な行動をとる
⑦友人はほとんどいない
⑧表面的には非常に魅力的
⑨「楽しい」かどうかが人生の行動指針
⑩社会規範の無視
⑪視線が強い　　

だそうで。①②③④⑥⑧は、彼女の人生の履歴わかればそうでしょうなと。

地味なドキュメンタリーなんだけれど、興味深いのは、母があんな感じなのに捨てられた息子たちはまとも。孫もまとも。でもって恨むどころか温かく手を差し伸べる。

で、好き勝手な人生を貫いた母は、最期は悲惨な人生‥‥では全くなく本人は至って幸せそうで(笑)。

真っ当でまともな子供は、95歳の母が亡くなる前に、母の仮面を外した本当の姿が見たいと言ってたけれど、この作品観終えて思った。

それは無理。貴方のお母さんソシオパスです。

「孫に恋をしたの…寝たいわ」
95歳にして、この幼さ。(同時に外見については信じられないほどの若々しさがあるのだけど、褒めてる暇がない中身のヒドさ)

「家族だからわかりあえる」という幻想を徹底的に打ち砕いてくれるのは気持ちいいくらいなのだけど、それでも、息子とその孫の努力が報われないことが、とても切ない。

祖母の育った背景に、同情の余地がないわけではない。が、この人、完璧なソシオパス(又はサイコパス)であり、良心が欠落している。人を操ることが本当に上手。ソシオパスのお手本のような人だ。

感情移入できなければ、退屈きわまりない作品だと思う。私は7年ぶりに会ったばかりの自分の祖母を思い出して、引き込まれてしまった。私の祖母も、ここまでひどくはないにせよ、恐ろしく幼い人だから。

普通の家族になりたい。親とマトモに話したい。それは叶わぬ夢であることを、知っているのに、生きている限りわずかな希望を抱いてしまう。時間の無駄でしかないのだと、改めて感じた。映画をつくるという利益が生じない限り…。笑

毒にも薬にもならない、同じような境遇の人の、共感のためだけにある作品だと思う。

ソーダ