かたゆき

ホース・ソルジャーのかたゆきのレビュー・感想・評価

ホース・ソルジャー(2018年製作の映画)
2.0
アメリカ社会を大混乱へと陥れた911同時多発テロ。
本作は、その直後、アフガニスタンで秘密裡に行われたアルカイダ掃討作戦を事実を基にして描いた戦争アクションドラマだ。
アフガニスタンの荒れ果てた大地へと降り立った12人のアメリカ軍特殊部隊の精鋭たちは、アルカイダと敵対する現地の軍閥たちの協力を得ながらアフガン中枢部を目指すのだが、そこは長年内戦を繰り返していた国。
ほとんど未舗装の大地は戦車や車で進むにはかなりの困難を伴うものだった。
仕方なく、彼らは軍閥から支給された馬たちを乗りこなし、アルカイダとの闘争を開始するのだが…。

これまで幾度となく作られてきた、対テロ戦争を一方的な視点でのみ描いたいわゆるアメリカ礼賛のエンタメ映画なのですが、正直その中でもレベルの低い部類に入る作品でしたね、これ。
事実を基にした映画のダメな部分ばかりがてんこ盛り。
実際に起こった出来事を時系列順に並べただけなのでストーリーになんの起伏もなく、ただただ敵に出会って戦って勝って進んでまた敵に出会って…を繰り返すばかり。
登場人物も類型的でそれぞれの描き分けもうまく出来ておらず、誰も彼も全くキャラ立ちしていません。
クライマックス、一度は主人公たちと決別した軍閥の長が友情のために助けに駆けつけてくるという一番の見せ場も監督の演出力の無さなのか、全く盛り上がりに繋がっていない。

たとえ事実を基にしていても優れた脚本なら、時系列を意図的にバラバラにしてみたり、アメリカに残された家族のドラマを同時並行的に描くなどの工夫を凝らすことで観客の感情を高ぶらせるものです。
対して本作、新しい部分と言えば主人公たちがこの現代において馬を駆って戦うというくらいのもの。
それも物語上、巧く機能しているとはとても言いがたい。
人間と馬との種族を超えた友情などをメインに描いていたらまだ見れたものになっていたかもですが、それもあとのまつり。
キャストもそれなりに豪華だし、お金がかかっているだろう戦闘描写もなかなかリアルだが、はっきり言ってそれくらいしか見るべき部分のない残念な出来の作品だった。
かたゆき

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