KATO

ドント・ウォーリーのKATOのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.8
風刺漫画家ジョン・キャラハンの半生を描いたもの。

正直言って、申し訳ないけれど“ろくでなし”だなと!アルコールに逃げて、少しでも苦しいことがあったらすぐに酒を求める。身体が不自由になってからも、こそこそと隠れて酒を飲む。
自分でそれに気づくまでのあいだ、こいつ……という気持ちはあった。でも、酒を辞めようと決めて、色々と新しいことに挑戦していく姿を見て、もともとの彼はこういう人だったのかもしれないと思った。
三つ子の魂、ではないけれど、人間って根本的に大きく変わることは正直とても難しいと思うのだ。というか、不可能だろう。
だから、彼はこれまでアルコールで本来の自分に蓋をしていただけなのでは、と。漫画に出会って、認められて、はしゃいでいる彼の姿はまさに子どものようだった。なんて微笑ましいんだろう!
母親に捨てられた、という事実は、彼を深く傷つけていた。そして、彼は自分を受け入れてくれる人たちに心を開くことができなかった。たくさんの自己嫌悪が重なって、それを一瞬でも忘れられるアルコールは素晴らしいものに思えたのかもしれない。
事故にあい、胸から下が動かないという状況になったとき、ようやく彼はそのことに気づき始めていた。

作中でたくさん、彼のイラストを目にした。とても好きだと思う。もちろん、皮肉が効きすぎていて人に受け入れられなさそうだと思うものもあったけれど、私はとても好き。
彼の作品をどうにかして見たいんだけれど、本国から自伝やらを取り寄せるしかないのかな。
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