都部

ゲームマスターの都部のレビュー・感想・評価

ゲームマスター(2016年製作の映画)
1.0
クソ。不出来さに憐れみを感じたり同情を抱いたりする気持ちの『クソ』ではなく、行き場のない怒りを唾として路上に思わず吐き捨てたくなるような『クソ』。学生映画の方がまだマシなもの作れますよ。
そもそもが低予算なのは理解するとして、予算がなくても演技とか脚本とかそれに見合った物として改善出来る点は山ほどあるわけで、そういう努力の感じられない作品に直面するとどうしてもキレが生じますよね。

本作はデスゲームを謳っているのですが、作品の展開として繰り広げられるのは運勝負の毒寿司食い大会であり、知略謀略というジャンル物の妙をまるで活かしてない名ばかりのデスゲーム。ジグソウを見習え。

このメインゲームの寿司を食べて毒のそれを引き当てる/引き当てないが完全な運勝負なのは罵倒で許すとして、毎回挟まれる謎の和風空間でのダンスシーンはなんなんですかね。物語に進展のない部分で尺を取るのやめて欲しいですし、それをゲームの度に挿入する意図はどう考えても尺稼ぎ以上の物を見い出せないんですよね。

一丁前に枯山水とか出してくるのも癇に障るんですが、要は『寿司』とか『芸者』とか海外向けのこれ出しとけば日本の珍品として受け入れてくれるだろみたいな舐めた考えが見え見えで、本作の要素として別に寿司でも芸者でも和風じゃなくても良いのにその要素をチラチラと見せてくる小賢しさが本当にムカつく。

あと寿司ゲームの合間に挟まれる余興もこれもまた面白くないし、無駄に女性の乳首とか出して、極限状態に追い込まれた人間の暴走を描きたいんでしょうけど、それやるならまず中身のある人間を描けよと。昭和から時代旅行来たついでに映画を作ったのか、と言いたくなる人物造形の浅慮さと古臭さが香ばしく、今どきさそんな政治家とかオタクとかクィアな人間とかいねーよっていう話なんですよ。特定の属性を帯びた人間をここまで古臭く馬鹿にしてる感性の方をまず見直すべきですよね?

しかも合間合間で挟まれる過去の回想も別にドラマとしての何の結実も迎えずにゲームは終わるし、途中に挟まるいざこざも端的に不快だし、あの取って付けたような結末。は?デスゲームという題材にしてるジャンルすら舐めてんのか?と。無知を責め立てるのも大概だと思いますけど、作品としてそれ作ってんだから前例のリサーチくらいしろよって話ですよね。マジで面白くなかったし、作品としての誠実さすらない作品ってこうも人を苛立たせるのかと思いましたね。
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