女性の権利を頑なに認めない父親をはじめとする封建的な男性社会に反発する少女が得意な歌を駆使して覆していく…という目論みは理解できるけれど、肝心のヒロインは努力家というより単なる我が儘娘だし、父親はステレオタイプすぎる封建主義者で他の人間もドラマを都合よく進めるためだけに置いたようなキャラばかり。そしてなにより主人公の歌が動画サイトで特に悪戦苦闘することもなくすぐに人気が出て大スターにも注目されるというあまりにもリアリティのない展開に興醒めしてしまった。
二時間半も深みのないベタな展開が続くのがしんどかったし、男の威圧的な視点から逃れて自由を勝ち得ましたよというラストもベタすぎて心を打たれなかった。あと彼女を何かと助けれてくれた同級生の青年がラストにいないってどういうことなの。でも他の人が評価しているのを見るにつけ、俺に心は無いのかとちょっと不安になったりも。
劇中では夢に向かって走っていたヒロインを演じた役者が、他の作品で役作りのため髪をかなり短めに切ったことが「反イスラム的」だとネットで超炎上して引退することになってしまったのが皮肉。
