ひのらんげ

こどもしょくどうのひのらんげのレビュー・感想・評価

こどもしょくどう(2017年製作の映画)
3.0
「貧困」というあだ名で虐めに遭うタカシ。それを見過ごせない定食屋の息子ユウト。そんなふたり。

ユウトはタカシといつも一緒で、毎日タカシを自宅に招いてご飯を食べている。

ユウトはそんなある日、食べるものに困窮した挙句に父の指示で万引し、そのあと公園で髪を洗う姉妹ミチルと妹ヒカルを目撃する。
ユウトは自分が豊食にあるとき、一方そのころ、きっとおなかをすかせている姉妹を思い出し、おなか一杯ご飯をごちそうしようと、その姉妹を自宅に招く。

姉妹は暖かい哀れみを受け、混乱し、途方に暮れる。「ごちそうさま」も「ありがとう」も言わないけど、きっと今まで言う機会がなかったのだ。感謝されたこともないし、感謝は他人の迷惑になるという考えなのかもしれない。

そんな折、姉妹の両親は行方不明とる。

絶望。姉妹はぬいぐるみが橋から落ちた時、その軽くて風に流されながら落ちるクマが水面に波紋を広げた時、いっそ死んでしまおうと思い立つ。

子どもにそもそも論は通用しない。更には子供は大人になったことがないから、大人の事情は無意味だ。(大人は全員が昔子どもだったから、それが逆に事を複雑化させているのかもしれない)

この世界にはいろんなことがあるけども、何が基本かといえばやっぱり「食べること」。
お腹はだれでもすぐにへるから、食事というのはこういう時にわかりやすく人を動かす。そこを当たり前としないで「食べること」が根底だということをここで再認識しました。

この映画は「こども食堂」発祥の物語らしい。ただ、きっかけを知ると同時に現状も知りたかったところ。

あと、ちょっとうまく書けないけども、かわいそうだと思うのはちょっと違う気がした。境遇は違えど私も同じく生きているのだから、これはどこか遠くで起こっている、自分とは無関係なことではない。

挿入歌の俵万智作詞の歌「こどもしょくどう」は、確かな歌詞だと思った。たべることは命。たべることは繋がり。食べることはぬくもり。

「シッカリと見ておきなさい」というのが、自分に言われているようで印象的だった。

(Amazon Prime Video)
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